京急空港線は今や京急沿線(直通もあり)から羽田空港へのアクセス路線として大成功している路線ですね。
だけど、元々は神社参拝のために作られた路線でした。
これは「神社に参拝するための」「電車の路線」としては日本初の路線です。
京急はどういう作戦で、そんな路線を作ったのか。
そっから空港線になるまで、どんな歴史があったのか・・・適当に調べてみました。
京急空港線は穴守線と言われてた。どういった経緯で開業したの?
京急の空港線は結構開業が古い路線で、本線よりも先に全線開通しました。
当時は大師線の川崎~川崎大師まで。
本線は川崎~大森海岸~JR大森まで・・・ができてました。
これには京急のビジネス的な策略があったようです。
日本初の参詣電車
京急は1902年6月28日、京急蒲田~穴守稲荷を開通・開業しました。
この時の京急の狙いは、穴守稲荷神社を訪れる参拝客の輸送でした。
穴守稲荷神社は明治30年代(1897年~1907年)には結構有名な神社として、特に関東圏の人らの認知は高かったらしい。
もう1つは京急が作った、初詣ブームです。
まぁ最後は誇張だけど。
でもマジで「川崎大師へ詣でるなら、穴守稲荷へも寄らなければ片参り」と宣伝してたんで、間違いではないでしょ。
宗教を利用したビジネスのやり方としては、やり過ぎな気がする・・・
参考:穴守稲荷神社
観光地化する羽田エリア
1909年、京急は穴守稲荷だけだと弱いと考えて、羽田エリアを大開発しました。
野球場やテニスコート、遊園地に動物園、海水浴場などを作り、人を集めて盛り上げてました。
しばらくはレジャー施設として多くの人が利用に訪れてましたが、羽田飛行場を作る事となり、土地が買収されてしまいます。
羽田に飛行場が作られる事になった理由は色々とあって
- 関東大震災で物資ルートの見直しがされた
- 空路もあれば良いと判断され、羽田が選ばれた
- 羽田は空港を作りやすい地形だった
ということで京急のレジャー施設はBANされ、羽田空港の元祖が作られる事になりました。(1931年)
もちろん国家レベルの事業なんて、京急に抵抗する術はありません。
参考:東京都羽田運動場跡戦争による影響と、その後の動き
羽田空港は今よりも陸地に近い所にあって、当初は羽田空港へのアクセス路線としても穴守線の存在意義はありました。
ですが、第2次世界大戦から大東亜戦争に発展し、終戦を迎えた時に羽田空港はGHQに没収されてしまいます。

めっちゃ理不尽ですけど、強制的にアレコレ追い出される事になり、穴守線も部分的に使えなくなりました。
1952年頃から返還され、元通りになってゆきます。
1956年には初代の羽田空港駅が延伸開業しました。※現在の天空橋駅
だけどアクセスはかなり悪い場所なので、一時的にはバスが運行されてました。
1964年に東京モノレールが開業。東京五輪のタイミングでできました。


一方で京急本線の需要が多すぎて、京急は本線の対応に追われてました。
羽田空港へ延伸
京急本線の輸送力増強が落ち着いたのか、羽田空港へ乗り入れる話を進め始めました。
だけど・・・

と、今度は突っぱねられました。自分らからしたお願いを蹴られた腹いせか?
京急はそんな状況など関係なく、交渉したり段階的な延伸をして、1998年に羽田空港第1・第2ターミナル駅を開通しました。
京急空港線の沿革年表
1902年6月28日 | 穴守線開業 |
1904年3月1日 | 標準軌→馬車軌道に変更 |
1910年3月31日 | 全線、複線化 |
1913年12月31日 | 穴守駅を移設。800m延伸 |
1914年1月 | 元の穴守駅の所に羽田駅を開業 |
1915年1月 | 羽田駅が穴守方に40m移動。稲荷橋駅に改称 |
1933年4月1日 | 標準軌に変更 |
1940年10月 | 稲荷橋駅を蒲田方へ200m移転 |
1945年9月27日 | 蒲田~稲荷橋を単線化。稲荷橋~穴守は休止 |
1946年8月15日 | 稲荷橋駅を蒲田方に340m移動 |
1952年11月1日 | 複線運転を再開 |
1956年4月20日 | 稲荷橋駅→穴守稲荷駅に |
穴守稲荷~羽田空港駅(天空橋)を開業 | |
1963年11月1日 | 穴守線から空港線に改称 |
1997年11月23日 | 大鳥居駅あたりを地下化 |
1998年11月18日 | 天空橋~羽田空港駅が開業 |
2010年10月21日 | 国際線ターミナル開業により、新駅設置 |
2012年10月21日 | 京急蒲田駅等、立体交差事業の全事業完了 |
2020年3月14日 | ターミナル名称変更により、駅名を変更 |
京急空港線の駅
京急空港線
駅数 | 7駅 |
路線距離 | 6.5km |
線路数 | 全線複線 |
最高速度 | 100km/h |
空港線は6.5kmに7駅なので、平均の駅間距離は1kmもありません。
だけど羽田第3ターミナル駅と羽田第1・第2ターミナル駅の間は2.0kmもあります。
対し、大鳥居~穴守稲荷と穴守稲荷~天空橋は0.7kmと結構短め。
元々の路線の特徴と、空港という大規模施設による特徴が出てますな。
2025年2月現在、羽田空港第1・第2ターミナル駅より先に引き上げ線を作ってる最中です。
完成は2030年の予定。
ダイヤの大幅な変更ができるようになります。
空港線の駅一覧
まとめ:空港線は京急のビジネス戦略から産まれた路線だった
空港線は元々、穴守線という名称でした。
その名前の通り、穴守稲荷神社へのアクセス路線として作ったのです。
京急は川崎大師さんに人をいっぱい寄越そうと思って、初詣というものを宣伝しました。
また、ついでに多摩川の対岸にある有名な神社、穴守稲荷さんも参拝させて、自社の稼ぎを最大化させました。
その後、羽田空港が整備されて穴守線が空港線になり、延伸開業して今に至ります。
今ん所は大規模な改修工事とかありませんが、羽田空港側に引き上げ線を2本置く工事をやってる最中です。
完成したら、大規模なダイヤ改正が行われるでしょう。
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