引用:Google Map
その名前の通り、川崎大師へのアクセス路線として作られました。
ですが今では沿線に多くの企業があり、通勤のために利用する人も多いです。
今回はこの京急の元祖である、大師線の成り立ちを振り返ってゆきます。
大師線の歴史。京急の元祖はここから
まず設立したのは大師電気鉄道でした。
狙いは、都心から1番近い有名寺院へのアクセス路線で儲けたろ・・・って魂胆です。
川崎大師ってどんな寺?
大師線の目的は、人を川崎大師に運ぶことでした。
川崎大師ってそんな有名なの?と知らん人は知らん。
成田山と高尾山は多分、多くの人が耳にした事があるでしょう。
その寺と肩を並べる寺院が、川崎大師なのです。
しかも都心から1番近い。
川崎大師に行きたい人はメチャクチャ居るわけで・・・鉄道を作ったら儲かる事、間違いなしです。
大師電気鉄道株式会社の設立
1897年8月26日、大師電気鉄道に軌道許可が下りました。
1898年2月25日、正式に大師電気鉄道株式会社を設立。
日本で3番目、関東では最初の電気鉄道会社ができました。
創立時には日本の四大財閥の1つ、安田財閥が援助したことで、現在でも安田財閥系の「ふようグループ」に京急が入ってます。
ちなみに最初の電気鉄道は京都電気鉄道(路面)で、2番目は名古屋電気鉄道(路面など)
名古屋電気鉄道は、名鉄の元祖です。
大師線が開通
引用:Google Map
1899年1月21日、川崎駅(六郷橋駅)~大師駅(川崎大師駅)が開通しました。
※途中に池端駅があったらしい。
大師線ができるまでは人力車を使う人が居て、真っ向から対立する関係になってしまいます。
その関係で、川崎駅まで作る事ができませんでした。
道路拡幅の必要もあって、困難だったのも1つの理由。
ちょうど1月21日は川崎大師の初縁日にあたるのですが、これは偶然です。
本当はそれより前にできる予定だったんですが、材料の遅延で遅れたらしい。
参考:京急電鉄120年の歴史は大師線から始まった - 開業当時の経路を歩く
1902年9月1日、人力車組合との折り合いが付いたのか、向こうが潰れたか知らんけど
川崎駅を六郷橋駅に改称し、川崎駅(京急川崎駅)までが開業しました。
下新宿駅、の場所はよく分かってません。
引用:Google Map
軌間変更と経路変更
これは品川で接続する路面電車に乗り入れるためです。
1918年に発電所前駅を久根崎駅に改称。
これも場所はよく分からんけど、港町駅の300mほど川崎側にあったらしい。
京浜国道・国道15号線が新しくなることで、ルート変更と専用軌道化が行われました。
そして新宿駅、久根崎駅、池端駅が廃止になりました。
引用:Google Map
1929年、河川事務所前駅(港町駅)が開業。臨時駅でした。
12月10日、味の素前駅(鈴木町駅)が開業しました。
河川事務所前駅は一度廃止になりましたが、コロムビア前駅として再開業。
1933年にはまた標準軌に戻りました。
大東亜戦争に突入し、休止や延伸が起こった
戦時統合が起こり、京浜電気鉄道は合併されました。
不必要な駅は休止されましたが、一方で大師線は延伸。
1944年6月1日、川崎大師~産業道路駅(大師橋駅)が開業。東門前駅も開業。
10月20日、社名があると狙われると思ったらしく、味の素前は鈴木町駅に改称。
1945年1月7日、入江崎駅~桜本駅が開業し、大師線はこれで全通です。
引用:国土地理院地図
実は大師前駅からまた別の路線で、工業地帯の輸送を目的に開業したものがありました。
京浜電気鉄道の子会社、海岸電気軌道が作った路線です。
引用:Google Map
ですがこれ、世界恐慌で人が乗らなくなるし、産業道路の建設で全線廃止になりました。
戦後処理
戦後、京浜急行は合併してた大東急から独立。
1952年に塩浜駅~桜本駅を川崎市に譲渡しました。
そっから塩浜駅で路線は分断されてます。
塩浜~桜駅間は1969年に廃止。
一方そのころ、1964年に国鉄の塩浜操車場・・・川崎貨物駅ができることになって、小島新田~塩浜が廃止になりました。
引用:Google Map
くそでけぇ貨物ヤードができる事になり
とまで言ったかどうかは知らんけど、路線が短縮されました。
踏切撤去のための地下化工事中
大師線は踏切の解消などを目的とした「京浜急行大師線連続立体交差事業」が進行中です。
当初の計画はこれ
ですが、川崎縦貫高速鉄道は2018年に廃止が決定。
費用対効果のこともあって、一部の計画が中止になりました。
さて、計画中止・・・とは言いましたが、もしかすると整備が再開されるかもしれないらしい。
現在事業中の、東京外かく環状道路は最終的には川崎区へ繋がる予定ではあります。
その検討段階で、何かしらの動きがあるとか・・・
でもあまり期待はしない方が良いかもしれん。
年表
1899年1月21日 | 川崎(六郷橋)駅~大師(川崎大師)駅が開業。池端駅、開業 |
1899年11月29日 | 全線、複線化 |
1902年9月1日 | 六郷橋駅~京急川崎駅、開業。下新宿駅、開業 |
1904年3月1日 | 全線、1372mm(馬車軌道)に変更 |
1926年12月24日 | 国道15号線の改築により新線に切り替え、専用軌道化 |
1928年12月28日 | 六郷橋~川崎大師の経路を変更。専用軌道化 |
1929年 | 港町駅が開業(臨時駅) |
1929年12月10日 | 鈴木町駅が開業 |
1933年4月1日 | 全線が1435mm(標準軌)に変更 |
1942年5月1日 | 戦時統合により、東京急行電鉄に合併 |
1944年6月1日 | 川崎大師駅~大師橋駅が延伸開業。東門前駅も開業 |
1944年10月1日 | 大師橋駅~入江崎駅が延伸開業。小島新田、塩浜も開業 |
1945年1月7日 | 入江崎駅~桜本駅が延伸開業。大師線全通 |
1948年6月1日 | 東京急行電鉄から分離、京浜急行電鉄が発足 |
1951年3月16日 | 京急川崎駅~塩浜駅を1500Vに昇圧 |
1952年1月1日 | 塩浜駅~桜本駅を川崎市へ譲渡 |
1964年3月25日 | 川崎貨物駅の設置のため、小島新田駅を300m川崎方面へ移転 |
1970年11月20日 | 小島新田駅~塩浜駅を正式に廃止。現在の路線が確定 |
2019年3月3日 | 東門前駅~小島新田駅が地下化。大師橋駅~小島新田駅が複線化 |
大師線、各駅の紹介
引用:Google Map
大師線は7駅。
4.5営業キロの支線です。
本線への直通運転は現在ありません。川崎と小島新田をピストン運行しています。
通勤需要に応えるため、平日のラッシュ時は5分間隔で運行。かなりの頻度ですね。
※各駅の完成済みのみ掲載します
川崎大師駅
引用:Google Map
京急が最初に作った駅です。
川崎大師(平間寺)へのアクセス目的で開業しました。
川崎大師は昔から人気の寺で、都心から近いってのもあり、京急の狙いは大当たりしました。
この駅の近くには他に金山神社もあります。
この神社の祭りがヤバイwww
→川崎大師駅は初詣の元祖である寺と、奇祭のある神社。京急はここから始まった
小島新田駅
引用:Google Map
戦時中にできた駅で、駅名の由来は新田開発者の1人、小島さんから。
こんな支線の端っこ、全然人が使わんのだろうと思ったら大間違い。
会社の送迎バスが駅前までやってくるので、通勤のために利用する人が結構います。
もちろん京急川崎駅が大師線で最も利用者が多いですが・・・川崎を省いたら小島新田駅が1番です。
小島新田駅の近くには映画やドラマなどのロケ地としてよく使用される、いつくしま跨線橋があります。
貨物列車の撮影地としても有名です。
→小島新田駅は農地から産業地区へ。聖地にもなっている面白い駅を解剖してみた
大師線は地下化工事中。第2工区事業は復活するのか?
2024年現在、大師線は第1工区の踏切撤去・連続立体交差事業が進行中です。
川崎大師~小島新田駅の大半が地下になります。
京急川崎~川崎大師間の事業は中止に。なんらかの別の方法で踏切を除去する予定です。
どうも外環の事業に第2工区が関わってるとか何とか言ってますが
そこまでやるとなると、莫大なお金がかかります。
期待しない程度で見守っておきましょう。
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